2020年6月12日金曜日

m-2:ヒント2-a:観察スケッチ

観察する場面で大切なことは、ただなんとなく視界に入れる、ジロジロみるということではなく、対象をなぞってみる、自分で再構成してみる、という経験です。「写真じゃダメなの?」という声が聞こえてきそうですが、「ダメじゃないけど、同じじゃないんだ」と答えることにします。
手描きの場合、視覚から得た情報をもとに自分の体を動かし、見えているものと描いているものの一致を目指す、試行錯誤の体験となっています。でき上がった表現だけでなくその過程の中に多くの経験的な学び、解釈があります。
これに対して写真は、シャッターを切る=フレームで切り取る、という身体的な行為の後はほぼ視覚だけに頼った活動になります。パソコンを操作する、などの身体性はありますが、これは写真やそこに映った経験を味わう活動とは全く分離されていますよね。
※実はこのような問題は全ての情報機器に当てはまります。だからUX/UIデザイナーが必要になのですが・・・この話はいずれまた。

対象をなぞる
繰り返しですが、スケッチの目的は自分が対象を理解すること=体内に経験として取り入れること。上手か下手かは関係ありません。
教室での授業では、自分の座っている椅子を対象に、
・輪郭線だけひと筆描き
・影の部分だけを描く
・ハイライトの部分だけを描く
・気になる部分を細密に描く
など、サクッとかける観察スケッチの練習をしてもらっていました。
シャープペンやボールペンは禁止、マーカーなど消しゴムが使えない筆記具で書くのがポイントです。
クラス内で他の受講生の表現を見れば、「ああ、こんなんでいいんだ」と気づけると思うのですが、オンラインでは検索すれると“上手な絵”しか出てきません。「・・・無理」
と思うかもしれませんが、絵は練習すれば上手くなっちゃうんです。諦めずに続けてください。

名著!『図解力アップドリル』には、p34~p64まで、30ページにわたって観察スケッチに役立つ練習方法が語られています(手に入れば是非)。

やってみた
ゼミスペースの机の上に放置されていた誰かのハサミを描いてみました。使ったペンもう机の上に放置されていた「プロッキー細字(茶色)」、紙も放置されていたコピー用紙。
シャッと描いて、じっと眺めて、約5〜10分くらい。気づいたことは、途中でも後でもジャンジャン書き込む。短時間で素早く、を繰り返してみましょう。

参考図書紹介