2020年7月13日月曜日

m-3:ヒント3-c:情報の組織化

今回は、3つの課題を完遂するための、受講生の皆さんに向けた最後のアドバイスです。

◉課題を自分のことばで再定義する
mission-3の課題でみなさんに期待していることを、ひとことでまとめると、以下のようになります。

集めた情報を 再構成して メディアのかたちにまとめて 誰かに届ける

おっと、わたしがやってしまいました。言いたいことは、このように、自分がこれから何をするべきか/何を期待されているかを、自分のことばで簡潔に説明してみよう、ということなのです。
授業に限らず日常のあらゆる課題は、ただ与えられた命令/作業ではありません。あなた自身が、自分ごととして、対象としている相手にとって良かれと信じていることを、提案や可能性として表現というかたちで示すために、一度自分のことばで説明し直す習慣をつけてください。少なくとも私たち(未来大のデザインコース)が提供するデザインの授業は、基本的にこのような考え方で、演習課題を提供しています。ただ作業としてこなすのではなく、自分と相手の問題として、何をすべきか考えなら行動する。そのような態度で臨んで欲しいのです。

上記の定義をよく見てください。
集めた情報を:mission-2でやったことです。
メディアの形にまとめて:mission-1でやりましたね。
再構成して、誰かに届ける:これがmission-3での新たな挑戦です!

◉情報の組織化
mission-3で学んで欲しい「再構成」について補足します。
「情報の組織化」の方法は6つ、です。LATCH+Iで覚えましょうか。
L:location 位置、場所 (地図、フロアガイド)
A:alphabet アルファベット順、アイウエオ順(辞書、名簿)
T:time 時間軸(年表、操作マニュアル)
C:category カテゴリー分類(商品陳列、動物園)
H:hierarchy 数量、重要度(ランキング、大きい順)
(I:intuition 直感)
今回の課題は、LATCHの中のいずれかを手掛かりに、ページを構成していく練習です。
地図上で説明(L)、歩いた道のりを順に紹介(T)、驚きの発見ベスト10(H)など、あなたが集めたデータ、情報を、どのような方法で誌面に配置していくのが最適か、じっくり悩んで、急いで美しく、冊子に仕上げてください。

ちなみに、『I』はネイサン・シェドロフがワーマンのLATCHに付け加えたもの。これはかなり高度な技なので、今回は使わないように。ただ、表現は自由なので、表現者の思いに委ねる、という組織化の方法も選択肢に含まれる、ということだけは覚えておいてください。

詳しくは・・・本を読んでくださいね。情報デザインを学ぶ人は必読です。
※リチャード・S・ワーマン『それは「情報」ではない。―無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン』東京電機大学出版局、2004
※ ロバート ヤコブソン編『情報デザイン原論: 「ものごと」を形にするテンプレート』東京電機大学出版局、2004


◉誰のためのデザイン?
「ユーザセンタードデザイン」とは、ユーザの言いなりになることではありません。あなたもユーザのひとりだということを常に意識してください。これは、デザイン成果物についての責任を取る覚悟でプロジェクトに取り組みましょう、ということです。
具体的に読んで欲しい人をイメージしましょう。
誰かを喜ばせることが、他の誰かを傷つけることもあります。直接の読者の周辺の、他の読書の存在も意識しましょう。
あなた自身が読者としてこの冊子を手に取ったときに、意図どおりに楽しめるかをイメージしましょう。
(・・・これらは簡単ではありません。もうできているとしたら、あなたはスーパー編集者!)

さあ、ラストスパートです。楽しんでクライマックスを迎えましょう。